お仕事!

やっと、風邪菌も私の元を名残惜しそうにですが、去ろうとしてくれていて、やれやれです。


今日は仕事に行くと、まずコミックの発売日が大手3社重なっていて、ブックトラック一杯に積まれていました。
小学館フラワーコミック、集英社マーガレットコミック、角川書籍コミック、etc。
私は今は直接コミックの担当からは足を洗ったのですが、今日の様に担当君が休みの時は、私が納品をする事が暗黙の約束事の様になっている為に、病み上がりの体に鞭打ちながら納品をしました。

という事で、今日はコミックが店頭に並ぶまでを皆さんに知って頂きたいと思います。




まず、コミックっていったら、皆さんはまず、ビニールでパックされていたり、ビニールの帯をされていたりしている状態を思い浮かべると思います。
あの状態にしているのは一体誰か?
私は本屋に勤める前には、あの状態で送られて来ると思っていました。
ところか、あれは個々の本屋さんにて一冊ずつあんな風に加工しているのですよ!
その事を初めて知ったときは・・・びっくりしました。何しろ、1タイトルだけでも何百ってオーダーで送られて来る上、人気作品が重なった日にはそれはそれはものすごーい数のコミックをパックしなければいけなくなるのですから。

まず、うちの書店ではビニール帯でなく、コミックパック(シュリンク*1)をすることから始めます。
こんな形で大体20〜30、多いときには40冊位が一つの束として運ばれてきます。

沢山あるときはそれが何十個も事務所前に積まれる事になります。

その束は結構厳重で、まず、透明ビニールを硬いビニールのテープで止めてあり、その下には、私達には頭紙と呼ばれている日付やら、運送会社やら、書店名やら、タイトルやらが書かれた紙があり、その下は茶色の紙で一山ずつ(大体一束には半分ずつふた山になっている)ぴっちりと巻かれています

それらを、書店カッター(確かこれ名前あったと思うんだが思い出せない)

でビシバシ開けていきます。
朝、納品を開けるときはポケットにはこれが必需品です。

コミックの納品が多いときなどは、私の後ろにゴミの山が・・・(資源の無駄だなーとしみじみ思うときでもあります)。


そのあと、いよいよこのうすーいふくろ*2

に入れていきます。
全盛期は目にも留まらぬ早業のシュリンク入れは、私の特技の一つでした(って誰も・・・一部の人しか分かってもらえない特技って・・・)。
今はこの仕事から少し遠ざかっていた為、腕が落ちているので、リハビリ中なのです。

こんな風にいれて

そのあとシュリンク機(これも確か名前あったはず・・・今度調べてお知らせします)に通します。シュリンク機は小さなベルトコンベアーになっていて、その途中に上下からヒーターを当てる場所が設けられているもので、
そこを通ると、

こんな感じになるのです。
これを一冊ずつひたすらジミーにやり続けるのです。
しかぁーし、ゆっくりなんでしていられない!
コミックってば皆さん、発売日に勇んで買いにきて下さるお客様が多いので時間との戦いなのです。


そして、シュリンク機と私、機械と一体になった状態がしばらく続くと、自分では気づかない間に(ちょっと無我の境地)全て、または取り合えず今必要な数が出来ているというわけなのです。

その後は、新刊台のコーナーに前月の新刊を引いて置くだけです。
ここも色々同じ日に発売したと言えども、平や面陳したいもの同士凌ぎを削っているので選択に結構時間がかかったりして。

そのほかにも、入荷の数を数えたり色々細かな仕事がありますが、とりあえずは皆さんにコミックを提供する為にはちょっと手を加えている事を知って頂けたらありがたいです。



ここで一つ、「そんな大変ならコミックに袋なんて入れなければいいではないか、それは書店の都合だ」とおっしゃる方が出てくるとは思うのです。


たしかに立ち読みを防止するという目的はあります。でもそれよりもっと大きな問題は、お客様はよりきれいな本を購入されるという事なのです。

この話をする時、一番分かりやすいのは、雑誌の状態をお話する事です。
雑誌は大体平台でどーんと置いたり、面陳したりする事が多いのですが、その一番上の本を貴方は買いますか?ということなのです。
もちろん一番上はみんなに読まれてぼろぼろだったりするので立ち読みする時もそれは避けますよね?
そうすると2番目の本を貴方は手に取るわけです。でも、気に入らないや、やっぱり止めたと思ってその本を一番上に戻す。
それを数人の人が一度にやったら、あっという間に5、6冊は一度読まれた本になる訳です。それを気にしないとおっしゃるお客様もいらっしゃいますが大抵のお客様は(私も含む)誰も読んでいないきれいな本を購入したいと思われるであろうということなのです。
雑誌はある程度やむをえない(それでも結構お客様に汚い、きれいな本はないのかと叱られたりします)のですが、コミックは子供相手という事もあり、収集がつかない位にボロボロになってゆくのです。
見本を作ったりもしましたが、見本があるからか、パックを破られる事が多発してしまいました。

本当は、全て皆様に見て頂いて買って頂くのが一番いいのでしょうが、本という媒体だけではなく、情報を売っているモノもあり(実際コミックなんて読んじゃったら終りだから)、なかなか難しい問題なのです。

*1:この場合薄いビニールの袋にいれて熱をかける事

*2:シュリンク